コンパクトなカメラに鏡胴の太いレンズを付けてジンバルに乗せる場合、クイックリリースプレートに鏡胴が干渉してバランスを取ることが出来ない可能性があります。
今回は、そんなトラブルについての解決策をご紹介したいと思います。
前回のついでに「Carl Zeiss Vario-Tessar T* FE 16-35mm ZA OSS」も付けてPilotfly H2に乗せてみようと思ったわけですが、付属のリリースプレートを付けてピッチ方向(前後)のバランスを取ろうとカメラの位置をスライドさせながら具合を探ってみても上手くいかない。
レンズが大きく重いですからどうしてもフロントヘビーになり重心がレンズ側寄りになってしまいますよね。
なので、Pilotfly H2のリリースプレートを固定する受け台にレンズを寄せていかないとバランスが取れないことになります。
じゃあカメラボディに付けてるリリースプレートの位置をレンズ側にずらして、受け台に重心が近くなるように取り付け直そうとしたところ問題が発生したわけです。
このように、固定位置に重心がくるようリリースプレートをレンズ側にずらすとリリースプレートの先端がレンズの鏡胴に干渉して水平に固定出来ないのです。
イメージとしては、お母さんが洗濯物をベランダから室内へ取り込もうと、物干し竿ごと室内へ持ち運ぶためにパワフルに物干し竿を持ち上げた場合を想像してみてください。
物干し竿の左側がレンズ、右側がカメラボディとし、お母さんは受け台です。
左側が重いわけですから、物干し竿の真ん中の位置で持ち上げようとすると左側が下がってお父さんのパンツが地面に落ちてしまいます。お父さんのパンツならともかく、子供のパンツが落ちては大変です。
お母さんは考えました。
「旦那のパンツは捨てていこう」
と、真ん中から持ち上げようとしますが、少しお父さんが可哀想なので考え直し、やや左側から持ち上げようと試みます。
「うーん、まだ左側が下がってバランスが悪いわ。もう少し左側を持ったほうが良いわね」
お母さんはもう少し左側を持とうとしますが、お父さんのパンツが邪魔でこれ以上左側を持てません。
じゃあ、お母さんがもっと左側を持てるようにするにはどうするのか。
それが今回の課題であります。
原因としては
これは簡単な話しですが、α6300の底面からレンズを取り付けるマウント部(最短距離)までの高さが低いからです。
コンパクト機にありがちなんですが、鏡胴の太いレンズを付けてテーブルに置くとカメラボディの底が斜めに持ち上がってしまい水平に置くことが出来ません。
カメラボディが水平に置けないと言うことはレンズが太い(もしくは重い)からです。
つまり、この場合だとカメラボディの底からマウント部までの幅より、レンズの鏡胴の幅が大きいために、鏡胴が壁となってリリースプレートをずらせる調整幅に制限が出てしまうわけです。
制限内でバランスが取れれば問題ないですが基本的に大きいレンズは重いので制限内ではおさまらないと思います。
「Sigma 35mm F1.4 DG HSM Art」も大きく重いレンズですが、前回のように問題なくバランスを取ることができたのは「LA-EA4」と言うSony純正マウントアダプターを介していたからです。
「LA-EA4」には三脚固定穴があります。そこにリリースプレートを取り付けることで、受け台はレンズとカメラボディの間(マウントアダプター)を持つことが出来るので重心に近くなります。そして「LA-EA4」はα6300の底上げにもなり鏡胴に干渉することなくバランスが取れたのです。
「Carl Zeiss Vario-Tessar T* FE 16-35mm ZA OSS」については手ブレ補正付きのレンズとあって、手持ちでの撮影に使うつもりですが、今後大きく重いレンズを購入した場合、この問題に直面する可能性が高いので早めの解決策を考えることにしました。
解決策
当初は縦グリップを付けよう(あるのか知らないけど)とか、リリースプレートを違うものに変えるだとか考えていましたが、色々調べているうちに、もっと簡単な方法で解決できると思いました。
要するに、カメラボディを底上げしてやれば良いわけです。
MENGS
L字型リリースプレート
このタイプは各メーカーから出てます。
これは3000円ほどで買いましたが、もっと安いものもありました。
この価格ならマストアイテムと言っても良いと思います。
SmallRig
A6000/A6300/NEX7用ケージ
ケージの他、ビスやコールドシューなどカメラ撮影を補助するアイテムを製造しているメーカーのようです。
このケージは9200円ほどで買いましたが、この記事を書くまで実際に使うことはなかったです。(笑)
今の僕の用途だと前述のL字型クイックリリースプレートで事足りたわけです。
このように、各所にビス穴が開けてあって、何がしかを必要に応じて固定できるようになっています。
外部マイクやら外部モニターやらを使う方ならこっちのケージの方が拡張性があるのでお勧めです。
L字型クイックリリースプレートを取り付けてみる
側面のプレートはビスで取り付けてあるだけなので外して使うことも出来ます。
僕は邪魔なので外しています。
裏はこんな感じです。
因みに、取り付けた状態だとSDカードやバッテリーが取り出しにくくなります。ここは残念。
更にPilotfly H2に固定する為のクイックリリースプレートを取り付けます。
バランスを取ってみましたが、問題なさそうです。
よーし。
ケージを取り付けてみる
クイックリリースプレートと接する面が広いからか、ビス固定の決まりが良いですね。
カメラボディに直接クイックリリースプレートを付けた時は、ビスが段々緩んで気がつけばカメラが横向いてたりするんですよね・・・。
まさに籠って感じです。
僕が外部マイクなんかを使う時があれば取り付ける機会も増えるのでしょうが、それもα6500にも流用できればの話しかな・・・。
底上げするとこんな感じ。
L字型クイックリリースプレートもこのケージも1cmほどの底上げが出来ます。
これなら太い鏡胴も問題なく使えそう。
ケージを取り付けてのバランスも問題なくとれました。
まとめ
α6300などのコンパクト機に太いレンズを使う時は、ほぼほぼ必須になると思います。
L字型クイックリリースプレートは価格が手頃なので持っていて損はないかな。
ケージについては外部マイクなどの周辺機器を使う方は検討されてみて下さい。
注意点としては、重いレンズは各軸のバランスが取れるまで不安定なので必ず片手でカメラをフォローしながら調整を行って下さい。
不意にバランスを崩してPilotfly H2のフレームなんかにぶち当たって破損なんてことは十分有り得ます。
Pilotfly H2を電源offにする時も急にバランスが崩れる場合があるのでカメラを持ちながら行った方が良さそうです。
こんな風に良い感じの回転速度でぶち当たりますからね。非常にデンジャーです。
これでお母さんはお父さんのパンツを犠牲にすることなく洗濯物を取り込むことが出来るわけですね。
めでたし、めでたし。
ご観覧ありがとうございました。
ほんならまただわ!