12月29日
合宿四日目に訪れたのは島根県出雲市稲佐の浜。
浜辺に巨大な岩が転がっている。
その岩をよく見ると、お社がある。
そして、本日が最終日となる。
吹雪の中で
この日、日本海側では降雪となった。
「寒さにだってあらがってみせる!」
と、きうま少年は生きこんでみたのだが。
海をよく見てみれば、こんな吹雪の中でサーフィンを楽しむ人がいた。
厚着をしていても30分も経たず震えてきたというのに、彼は海水に浸かって波乗りを楽しんでいる
いったいどんな神経をしているのだ。
いや、寒ささえも障害とならないほどの熱中と言うことか。
熱中は、苦を苦と思わない。
痛みを痛いと感じない。
波乗りを終えて戻ってきたサーファーはこう言った。
「ああ、寒むうぅ(鼻水)」
日が沈む。夕日が眩しい。
敗北を味わう
人生は波のように。
行っては戻り、戻っては行って。
進行と後退を繰り返しながら、手が届きそうかと思えば、遠のいていく。
案の定、最終日を迎えても動画をアップロードするまでに至らなかった。
その日に撮影し、その日に動画を編集してYouTubeにアップロードをすると言う計画は、初日から破綻している。
うまくいかないことばかり。
しかし、きうま少年は思った。
「うまくいかないなら、うまくいくまでやるまでだ」
敗北や屈辱がビールを旨くする。
それこそが人生の醍醐味。
静かに幕引きが始まるのをただ眺めるしかない中で、きうま少年の心は未だに熱く、冷めることはない。
「俺にはやらなければならないことがある」
きうま少年の瞳には、その先にあるものが確かに映っていた。
実家に戻り、あったかい風呂に浸かり、刺身を食べ、酒を飲む。
そうやって人は正月を迎えるものなのである。
きうま少年の来年はどうなる。
荒波の激闘編(完)